my LIFE as HERMIT


「壁に耳あり障子にメアリー!!変(考察)」(デス見沢A・篇)

(文中1ギルダー≒66円)

 

 

アムステルダム〜千歳

 明日は帰国であるのでガンジャを全部処分しなければならない。もったいなかったのて全部吸おうと思ったが、全部吸うと健全な生活に戻れなくなってしまうような気がする。だって、コーヒーショップの店員、みんなガンジャ顔というか、俺が前に診てた大麻中毒者と同じような顔つきしてるんだよなあ。いわゆるお札を折り曲げた笑う新渡戸稲造。ヤリすぎるとああいう顔つきに固定されるのかなあ。美しくないよなあ。やっぱソフトドラッグとは言っても麻薬だよ。と、今日は丁度よく効いているので冷静な思考ができる。残ったガンジャはホテルのトイレに全部流す。

 

 しかし、こういうガンジャ目的で来ている日本人とか、地元ではどう思われてんだべ。やっぱ「日本人ってしょーもねーなー」とか思われてんだろうか。まあ、人からどう思われるかなどどうでもいいのだが、ヒマだからここで俺のスタンドの特殊能力である「間主観性」を使用し、オランダ人の心情を理解してみよう。

 

 ・日本人がオランダに来てガンジャをやる状況に似た状況を想定してみる。

 ・日本では特に禁止されていなくて、別な国で禁止されてることがあるもの…アルコールだ。

 ・そこで、本国では飲酒が禁止されているイラン人が日本に来て「俺、酒のんでみてもいいかな? 俺が酒飲むことについてどう思う?」と俺に聞いてきたとする。

 ・その際に俺が答えるであろうことは…「好きにすればあ?」

 ・したがって、オランダ人がガンジャやってる外国人に対して思っていることは「好きにすればあ?」であることが予測できる。

 

 ところで、何か忘れているような気がする…あ、思い出した、当初の今回の旅の目的は「ハギスは本当にマズいのか」という命題を調査するためにあったのだった。モルトもあるので、ハギスをおかずに酒をのもう。缶詰めをあけると…コンビーフ状。しかしスプーンですくうとボロボロになる。さて、味は…コンビーフに麦系の増量剤を若干いれた感じ。そんなにマズいってワケでもない。ウマくもないけど。で、スコットランド人はこれにモルトをふりかけて食べると言う。エジンバラで買ったモルトのベン・ネヴィスを振りかけて食ってみる。

 

 ……………。

 

 よくゴミステーションとかで、破けたゴミ袋のすき間から、生ゴミにコーヒーのダシガラが混ざってるのが覗いていることがあるよねえ。あれを食べたらこんな感じなのではないだろうか。

 というわけで、俺だけイヤな思いをするのは大変悔しいので、ハギスはウマい。みんな、スコットランドに行ったらハギスは絶対食べたほうがいい。その際、モルトをふりかけるのを忘れずに。

 

 

 翌日はガンジャ酔いの残りと二日酔い。スキポール空港デカいんだわ。カジノは今回はパスして、土産を買う。今回も御禁制のソーセージやスモークサーモンやヘリング(ニシンの酢漬け)などを買う(魚はユルいのかもしれない。まあ魚は世界中の海泳いでるからなあ)。税関は当然無申告の密輸。

 飛行機待ってるのヒマだなあ…こういう時ガンジャやればいいのかなあ。しかし間違って持ってきたりしたらタイヘンだし、現物なくても、税関で犬がニオイに気がついて「別室にどうぞ」ってのもめんどくさい話だ。などと考えているうちに搭乗。

 

 飛行機、俺のとなりには若いねーちゃんが座った。ケッ、またプルジョワヨーロッパ人の一人旅かあ〜?とか思ってると「あなたにほんじんデスか? ワタシ、にほんご少しできます」と話しかけてきた。「わたしこれからシゴトでホッカイドウいきます」。しかし、英語で話しかけても全然通じない。ドイツ語フランス語もダメ。何人だ?

「あなたのクニはどこですか?」

「…??? わからナーイー」

「だから、アメリカとか、ドイツとか、フランス、ホランド、スペイン、ロシア…」

「Понял! Я русский.ロシアー。あたしは、ナターシャ(仮名)と、いいます」

 そうか! それでその貧乏くさい服…

 しかし、若いロシア人女性(けっこうかわいい)が札幌に仕事って…なんかとてつもない不幸のニホヒを感じるのは俺だけであろうか。そして、このねーちゃんが希望に満ちあふれてる表情をしてるのがまた、これから彼女の身にふりかかるであろう不幸とのコントラストを強調させ、思わず欲情してしまったくらいだ。俺には「こいつはこのままいくと絶対に不幸になる」という運命を予測すると感動して欲情してしまう性癖がある。となりにはデス見沢Fが座っているが、あまりの彼女の不幸ぐあいに「第二夫人にしようかな」などと暴言を吐いてみる。すると「好きにすればあ?」

 

 ところで、俺らの席は3人掛けで、窓側からF、おれ、ナターシャと座ってたワケだが、そのとなりが丁度トイレ。ナターシャがトイレに行くのだが、何故かそこの扉か離陸後5時間くらいたっても開かない。オランダ人パーサーに行って開けてみると、トイレで誰か男が倒れている。おお、ひょっとしてこれは「誰かお客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか?」デビューかあ〜? しかもチラッとみた限りじゃアル中かガンジャ中。俺の得意分野だ。ナターシャにいいところを見せて…って、なんで俺こんな俗っぽいこと考えてるんだろ俺。まあでも俺がヨメ以外の女性に対していいところを見せよう、などと思うのは非常に珍しいことであるので、こういうこともあるんだなあ、と我ながら感心した。

 

 しかし、いつまでたっても呼ばれない。パーサーに「さっきの人は大丈夫?」と聞いてみるが、「あ、あれは単なるアルコールの飲みすぎ。ほっとけば大丈夫さ」と言われる。くそ、英雄になるチャンス喪失。しかし結局、その男はフライト中ずっとトイレ独占してたぞ。その後、ナターシャとロシア語日本語チャンポンで少し会話。「札幌でなんの仕事やんの?」「それはわからな〜い」「札幌のドコ?」「ジャウ…ザウ…わすれました」「定山渓(札幌の温泉宿)ね。ひょっとしてボリショイサーカスの人とか?」「まさか〜、違いますよ」…ああ、もうド不幸決定。

 機内でグラディエーターとかやってたが、ナターシャは英語も日本語もできないのでロシア語のクロスワードやってた。千歳に着いて解散。一瞬俺らで市内まで案内してやろーかとも考えたが、まあ彼女の仕事のソレ系の方から空港にはお出迎えがあると思うので。こうして俺らとナターシャとはそれっきり。

 

 

考察

 最後に、この旅でガンジャやって気がついたこと。ガンジャは、もし自分に「分裂気質」があるのであれば、分裂病の「疑似体験」が出来ると感じた(分裂気質のない人には効果ナシのようだが)。そして、これでわかったことは、普通の人は、ある事を理解しようとしたら、筋道たてて論理的に理解していくのだが、分裂病の人は「いきなり直観で理解する」のだ。数学の問題でいうと、普通の人は計算して答えを出すのだが、分裂の人は計算しないで(もちろん暗算もしない)、いきなり答えがでてしまうのだ。当然正答率は普通に計算するよりいちじるしく低い。数学以外でも、分裂の人が直観で出す答えの9割はハズレだろう(「世界はフリーメーソンがしきってる」とか「井上陽水の曲は実は俺が作った」とか「店の外にでたらタイガーシェットシンに殺されるとか)。まあ、たまにアタリはあるが、まあ9割以上はハズレであると思ったほうがいい。しかし、たまにアタった時はすごい。数学者のインドのラマヌジャンは、一切計算・証明をしないで数学の問題を解いたという(それでも普通に計算した場合の半分くらいの正解率だそうだが)。そしてその直観(妄想とも言うかもしれない)は、ときどきものすごい学問的発見をするのだ。分裂系の芸術家が優れていることが多いのもそういうことだろう。

 

 そして、精神医療も、分裂病は「分裂病的に、直観で」理解するしかないのであると思う。直観で理解しなければ、百万冊の本を読んでも理解出来ない。俺はこれを分裂病フリージャズ説と名付ける。精神科医が分裂になることが多い、という説があるが、それは当然で、もともと「分裂気質が高い」からこそ「分裂病を理解できる」のだから。決して患者から伝染したというワケではない。

 

 フリージャズは、シロートが聞くとデタラメにしか聞こえない。フリージャズの説明をした書籍や記事は腐るほど大量にあるが、そんなものを全部読んだ所でフリージャズなど絶対にわからない。フリージャズは聞き続けていくうちに「だんだんわかってきた。なんだ、このコルトレーンの『至上の愛』は感動ではないか」ということもあるし、最も理解する方法は「実際にフリージャズを演奏してみること」である。フリーは演奏してる本人が一番楽しいのだ。

 そして、フリージャズを「あんなのデタラメじゃん」と言ってる人に対しては「わからない人はわかんないでいーよ」と言うしかない。他人に説明して理解してくれるもんではないから。

おはり

「壁に耳あり障子にメアリー!!変(その6)」(デス見沢A・篇)

「壁に耳あり障子にメアリー!!変(その5)」(デス見沢A・篇)

「壁に耳あり障子にメアリー!!変(その4)」(デス見沢A・篇)

「壁に耳あり障子にメアリー!!変(その3)」(デス見沢A・篇)

「壁に耳あり障子にメアリー!!変(その2)」(デス見沢A・篇)

「壁に耳あり障子にメアリー!!変(その1)」(デス見沢A・篇)

「コルホーズの玉ネギ畑!!変」

「戦場のメリー・クリスマス・イン・サマー!?変」

「オーヴァー・ザ・レインボウ!!変」(デス見沢デス彦17號篇)

「守ってあげたい!?変」( by Picatyuu)

リラクシン・アット・カマリロ!?変(デス見沢デス彦17號篇)

ドイツの科学力は世界一ィ!デス見沢・F・デス彦

ドイツの科学力は世界一ィ!変(デス見沢デス彦(A)篇)

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