札幌 某旅行代理店
旅行代理店の人「ではこれ、ビザと飛行機のチケットです。今回、結局観光ビザが降りなかったので、業務ビザをお取り致しました。ですから入国審査の時は『Дело(ヂェーラ:業務で)』とでも言っておいて下さい」 デス見沢A「Дело」 旅行代理店の人「そうです。それでは、今回ロシア旅行にあたって、注意事項を2・3点今からお話しいたします。まず、ビザ、これは絶対になくさないで下さい。ロシアにおいては、ビザはパスポートと同じくらい、またはそれ以上に大事です。これがないと入国も出来ませんし、ロシアから帰ることもできなくなってしまいます。もし無くされた場合は、たいへんめんどうなことになります。パスポートを無くすより、もっと大変なことになります。また、ビザに書かれている都市以外、たとえば勝手にモスクワに行ったりしても、たいへんめんどうなことになります」 デス見沢A「たいへんめんどうなこと、ですか。たとえば」 旅行代理店の人「たとえばですか。そうですね。まあ強制労働4年くらいですか」 デス見沢A「アハハハハ」 旅行代理店の人「アハハハ。まあ、ユジノには州立病院もありますしね。労働条件は日本軍が抑留されてたラーゲリ程度にはいいと思います」 デス見沢A「アハハハ。治安のほうとかはどうでしょう」 旅行代理店の人「悪いですね(キッパリ)。アハハハ」 デス見沢A「アハハ。市内でドルとか円とかは使えますか」 旅行代理店の人「えーと、現在ロシアでは外貨をそのまま流通させることは違法となってますので、表向きは使えません。でもまあ白タクとかドルで払ってますけどね、私は」 デス見沢A「白タク。大丈夫なんですか」 旅行代理店の人「大丈夫なんじゃないですかね」 デス見沢A「両替所は空港内にあるんですよね」 旅行代理店の人「まあ、空港内にあることはありますが、めったに開いてません。開いてたらラッキーと思っていていいでしょう」 デス見沢A「…ルーブルって、確か国外持ち出し禁止だからロシア国外では両替できないんですよね。ルーブルがなかったらバスには乗れない。そしたら空港から市内まではドル払いで白タクで行くしかないんですね」 旅行代理店の人「白タクもつかまらないことが多いです。だから、空港にだれか乗客のロシア人とかを迎えに来ている車があるはずだから、そこに乗り込んでしまうのが一番確実ですかね」 デス見沢A「はあ」 旅行代理店の人「あともう一点。これは『税関申告書』です。これに、入国時に所持している外貨をすべて記入して下さい。そして税関で所持金チェックの上、これにハンコを貰います。これも旅行中決して無くさないようにして下さい。ロシア出国時にもう一度税関申告書に所持金を書いて申告しますが、その時、持ち込んだ外貨が『増えて』いないようにしてください。出国時に外貨が増えていると、ロシアの財産を持ちだした、ということになり、たいへんめんどうなことになります。隠して出国しようとして見つかるともっとめんどうなことになります」 デス見沢A「めんどうなこと、ですか。それはやはり」 旅行代理店の人「そうですね。良くて入国時に持ち込んだ額より上回った外貨全没収、悪くて所持金全没収、もっと悪くて強制労働2年くらいですか」 デス見沢A「良いか悪いかの基準、てのは」 旅行代理店の人「運ですね」 デス見沢A「はあ」 旅行代理店の人「…デス見沢さん、ロシア旅行は何回目ですか?」 デス見沢A「全くの初めてです」 旅行代理店の人「(顔色が変わる)えっ…じゃ、大学でロシア語をかなり勉強なされた…」 デス見沢A「ロシア語は今日あたりからぼちぼち勉強しようかなーと」 旅行代理店の人「(額から猛烈に脂汗が滲み出ている)えっ…私はてっきり、もう何回もロシアに行かれてるものだとばっかり…何か慣れてるような感じがしたから…」 デス見沢A「大丈夫ですよ」 旅行代理店の人「(ものすごく焦っている)えっ…大丈夫じゃないですよ…あ、これ、私どもと提携している旅行会社のユジノ・オフィスの住所と電話番号、ここに書いておきますから。ここにナターシャという者がおります。この方日本語できますので、困ったことあったらここに電話して下さい…、あと、ここの日本料理屋のマスターも助けになってくれると思います…、あと、困った時にはこことここと…、あ、もし飛行機に乗り遅れた場合はビザの延長をОВИР(オビール)という所で…(あといっぱいいろいろ言ってくれたが忘れた、もしくは聞いてなかった)」 デス見沢A「大丈夫ですよ。いろいろありがとうごさいました。んじゃ行ってきます」 旅行代理店の人「大丈夫かなあ。心配だなあ…」
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