エジンバラ:Glenkinchie蒸留所 スコットランドといえばスコッチウイスキー。スコッチといえばモルト。スコットランドに我々が来た目的の一つにモルト醸造所見学タダ酒三昧の日々、というのがあり、最初アイレイ島とかハイランドとかも行こうとか思っていたのだが、昨日何マイルも離れてない隣町のリースに行っただけで激疲れてしまい遠出する気力ナシ。異国で車の運転ってえれー疲れるって。しかし蒸留所見学=タダ酒は飲みたい。ということで、できるだけエジンバラから遠くないモルト醸造所はないか、と、レンタカー屋から貰った「エジンバラ観光マップ」を見ていると、近くに「Glenkinchie蒸留所」というのを発見。ここを見学することに安易に決定。しかし、例によってマップにはだいたいの場所が載ってるだけで、具体的にどこをどういけばいいのか書いてない。まあホテルもなんとか見つかったし、近くに行ってそこらへんの人に聞けばわかるだろう、ということでとりあえず出発。
途中、もしかしたらもうちょっとマシなマップがないかと思い、トラベルインフォメーションセンターに寄る。タータンの服の、いかにもスコットランド人という(服装以外ではイギリス人と区別つかないが)おばちゃんがいる。 「すいませーん、Glenkinchie蒸留所に行きたいんですけど」 「おお、あそこに行くのかい。あそこはすばらしいよ。はいパンフ。この後ろにマップがついてるから。ここをまっすぐ行って二つ目の分岐を右にいけば行けるから」 よーし。それさえ聞けばもう到着したも同然。マップもあるし。これでスコットランドの道路は全て制覇した! もう俺に行けねえ所はねえ! 無敵! 今度から俺のことは「スコットランド・ロードマスター」と読んでくれ。
A「…マップで言うと、このあたりだよなあ…」 F「蒸留所らしきモノは見えませんねえ…」 A「道、間違ってないよなあ…A1をTranentで右折、B6355を進んでPencaitlandの交差点をまっすぐ」 F「うん、マップの通り間違いないけど…看板もないですねえ…」
同じ道を6回ほど行ったり来たりするが蒸留所の気配もナシ。閉鎖されてしまったんだろーか。いや、インフォメーションのおばちゃんは「ある」という前提で道を教えてくれたわけだし…だいたい閉鎖されたって建物がなくなるワケはないし… ここで一つの疑問が湧いて出てくる。 ひょっとして、俺たちが道を間違えているのではなく、マップのホウが違うのではないか… ためしに、道をひとつずらして入ってみる。さっそく「Glenkinchie蒸留所はこちら」の看板が目に入る。 公式のパンフで間違えたマップを載せてるんじゃねーよスコットランド! もうお前ら地図とか作っちゃダメ! 地図作りの才能ないわ! 日本人から伊能忠敬の遺伝子を分けてもらえ!
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とりあえず着いた。酒だ酒。朝っぱらから飲む酒はうまいぞ。入場料3ポンドでモルト飲み放題だが、酒を飲む前には蒸留所のスコッチウイスキーの歴史だの蒸留の過程などの小学校の社会科見学コースを経なければいけない。しかし3ポンドでモルト飲み放題というのはオイシイ話であるので、ここではおとなしく有難いお話を拝聴、蒸留を見学するのが得策。10人くらいのグループが出来るのをまって見学コースを出発する。
![]() 最初にホールみたいなところで「これから当蒸留所の施設を見学します…」と説明がはじまる。他の多くはたぶん観光客。イギリス人が多いかも。しかし、俺らの隣にはどこをどう見ても浮浪者みたいなの(20代くらい)が座っている。 講師「みなさん、当蒸留所は初めてですね…あなたは初めてじゃないわね」 浮浪者「50回目くらいかな」 なるほど。ここは酒飲みにとっては最も安くたくさん酒を飲める最高の場所に違いない。
お決まりの蒸留コースを見学し、さあ試飲コーナーだ。ここで作られるモルト以外にも、他の蒸留所で作られたモルトも「比較のため」ということでおいてある。飲み放題。どんどん飲んでると「あなたは車じゃないのですか」とか言われたが、まあ途中でどっかで酔いをさましますから、ということで(ちなみにこの蒸留所の半径5キロくらいは畑と道路以外何もない)。飲みながら「Glenというのはゲール語で『谷』と言う意味で、大英帝国の重税を逃れるためにウイスキーを『谷』で密造してたのが始まり」とかウンチクを聞かされる。それならムーミン谷で作ったモルトはグレン・ムーミンだな、とかいろいろ考える。しかしモルト、おみやげに買ってこうとしたらけっこういい値段する。酒税60%の消費税17.5%だもんな。下手すりゃ日本のディスカウント屋で買ったほうが安いかも。なるべく日本で見ないようなモルトをチョイスして買っていく。みやげの分は重いから郵便でとっとと送ってしまおう。こういう時に車だと便利。
![]() まあこれ以上酔うとちょっとアレだ、となる前に帰ることとする。モルトをがっちょり買い込んで車に積む。さあ出発。キーをひねる…シーン…。イヤな予感。エンジン動かない。何回ひねってもスカともいわない。あーまったく日本車はたまにこういうことあるからヤなんだよ。しかしこれは俺はもう何回も経験しているから知っている。これはコンピューターの「機嫌」が悪いのだ。もしくはイギリスの車にはアルコール感知センサーがついているのかもしれない。こういう時は「出発を諦めたフリ」をして、車が油断しているウチにエンジンをかけてしまう、と言う手に限る。しばらくボーッとして、おもむろにいきなりキーを差し込んでまわす。ブルン。成功。慎重に運転して帰る。
帰る途中、車でいろいろ細い小路とかにはいって探検してみる。スコットランドは道がそんなに多くなく、迷ってもいずれ必ずどこかのもときた道に帰るので、迷って出られなくなるということはない。目的地に辿りかないことはあるかもしれないが。で、そうやっていろいろドライブしてると、偶然次の日の宿に予約しておいた「古城ホテル」を発見。まあ正しくは「マナーハウス=領主の家」なんだが、ここらへんの城って「大きな石の家」みたいなもんで、ディズニーの城みたいなラブホテルみたいのとは違う。てもまだ泊まったことないから具体的にどーゆーのかわからんが。いずれにせよ、例によってマップが良くわからんので、いずれ探そうと思っていたところだ。こんな所で偶然見つかるとはラッキー。道を覚えておく。
スーパーで日用品とか買う。外国行くといつも思うのだが、ウーロン茶のペットボトルってないよなー。あれあるということないんだか。まあUKだったらお茶はいれて飲め、と言われるか。仕方ない、ミネラルウオーターでいいや。
![]() 街に戻って郵便局を探す。街の真ん中に発見。パーキングメーターのある駐車場に止める。窓口で「これ全部船便で日本に」と言う。スコットランドの郵便局には、ちゃんと「ウイスキー梱包用」の形のダンボールがあって便利。一本ずつ詰められるようになっている。割れないように詰め物としてワラもくれる。郵便局の床がワラだらけになる。係員が親切で、梱包を手伝ってくれた。ていうか、モタモタされてると迷惑、ということだったのかもしれない。日本まで8人分で20ポンドくらい。この国、郵便はなんか安い。
外はもうだいぶ暗くなってきた。高緯度で冬なんで4時にはもう暗い。車に戻ると…むっ? なんだこのフロントガラスに張られているものは。 ![]()
ギャ〜! ヤラレタ〜! …って何でだよ! 俺はちゃんとパーキングチケット買って、フロントに置いてあるべや! 頭に来たので、そこらへんにいたポリスをつかまえてカバチたれまくる。 俺「俺はちゃんとチケット買ったのに、何でだよ」 ポリス「いや、私がその違反キップ貼ったワケじゃないのでよくわかりませんが…」 俺「これは罰金払わないとダメなの?」 ポリス「いや、この封筒にパーキングチケット入れて、警察に郵送してくれれば、罰金はいらないと思いますが…たぶん。私がその違反キップ貼ったワケじゃないですし」 俺「…これを郵送すりゃいいんですね?」
あーもう今日はゲンが悪い。ビールのんで寝る。ホテルのラウンジで飲んでると10代くらいのスキンヘッド・タトウーのレイシスト(白人至上主義者、ドイツで言うネオナチ)っぽい奴がガンたれてくる。ああっ、どいつもこいつも俺をイライラさせやがって! こっちもガンとばしてると、急にそいつがバツの悪い顔をし出した。なんか老夫婦に「×××(たぶんそいつの名前)、部屋に行くぞ」とか言われてる。なんか小さい子供とかもいる。これって… 不良が家族旅行とか行ってんじゃねーよ! ってまあ、イギリスらしいというか…。まあこのホテルって家族旅行のためのホテルみたいだし…
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