ミュンスター〜アムステルダム〜千歳
帰国の前の日、ホテル近くのスーパーで土産物を買う。やっぱハム・ソーセージだろう。あとワインか。いろいろ買ったらヤケに重くなったので郵送にする。近くの郵便局に行く。「これ郵送したいんですが」「では、これに記入お願いします」日本のゆうパックの宛名書きシールみたいなものに記入。ただし当然全部ドイツ語なんで、辞書引きながら記入。「ここが違います、ここは◎×▲△…」「えっ、何ですか」「ですから◎×▲△…」ちくしょー何言ってるか全然わかんねー。中に何はいってるのかドイツ語と日本語で記入しろということなのか。指摘されたとこに「Bekon/ベーコン」と書く。それで正しいのかどうかは不明だが、とりあえず受理された。宛先は大家。 郵便局の隣にパソコンショップあり。全部ウインドーズ。ネットがタダでできる。ちょっと自分のページを見てみるが、当然日本語が表示されないのでヒンディーのタイトルしか読めず。掲示板は行くこともできない。帰国してから例によってTCUP死亡していたことが判明。 ![]() 市庁舎 この向かいが郵便局 でまあドイツ出国当日。寝過ごす不安のためぜんぜん寝られないままホテル出発。時間があったのでコーヒーを飲む。コーヒー以外の飲み物は全部炭酸かビールだ。炭酸はもーいーっての。来たときと同じプロペラ機にてアムステルダムに出発。50分ほどで到着。ボーっとしてたら着いてた。 さーって待望のアムステルダム! コーヒーショップ! 飾り窓(見るだけ)! と考えていたが滞在時間は5時間。いちおうスキポール空港は地下から鉄道が市内まででている。うーん5時間かー、と、まあこれからどうするかメシ食いながら長官と相談。メシはパエリアとハイネケン。ここから市内まで鉄道で行って帰ってくるのは楽勝だが、その間にコーヒーショップでステキな時間を過ごしていた場合、ついつい時間の感覚がなくなってしまわないだろうか。また、誰かさんが暴力的な行動に走り警察のごやっかいになる可能性はないか。などのさまざまなパラメーターを考慮にいれ、我々は「空港で遊ぶ」という結論に達した。コーヒー屋はまた次の機会に。残念。 とりあえずミヤゲの残り。職場におかし。あと俺へのお土産として日本では売っていないポールモールを4カートン(なんで日本にこれ売ってないんだよ俺この銘柄が好きなんだよなんとかせーや)。 そしてミヤゲを全部買った所で! ばばーん! 待望のカジノに挑戦! このスキポール空港の中心部には、なんとマジモンの公営カジノがある。これは前に来たときから気になっていたのだ。俺の得意なギャンブル…ルーレットがある! とりあえず余ったマルクとギルダーを全部チップに。70ギルダーになった。ちょっとセコイがまあ初心者デスから。 ルーレットは、ギャンブルの中で最も子(客)に有利なギャンブル。あれ、よくルーレット回す人(ディーラー)はみんな自分の狙った目に入れれる、と思っているようだが、そんなことは出来ません。出来るとしたら磁石かなんかのワザを使っているはずだが、それでも困難。玉の動きがヘンになるからね。 ということで、俺は最初から「倍々プッシュ」戦法をとることに決めてた。これはひたすら同じところに賭けていき、ハズれたら前と倍の額を賭けていく、という手法。毎回前の倍額にちょっとだけずつ上乗せすれば、そのうち絶対勝つ! ただしこれは確率が1/2とか1/3とかのギャンブルにしかできないが。 俺の持ってるチップは10ギルダー2枚、50ギルダー2枚。まず10ギルダーを「赤」にかける。…当たり。20ギルダーになって戻ってくる。よーしさいさきよいぞ。続いて10ギルダーを「3倍数」におく。ハズレ。もっかい10ギルダー。ハズレ。もっかい10ギルダー。ハズレ。よーし、そろそろ3倍数が出るハズ!いままでマイナス30プラス10なのでトータルマイナス20。ここで20ギルダー倍々プッシュプラスちょっと! 50ギルダーを「3倍数」におく。キーンコーンオーケー大当たりイィィィ! いっきに150ギルダーゲットォ! コノ調子で行くゼエエエエ! と思ったがあんまり同じところに倍々していると「お客さん、ちょっとこちらに」となってしまい飛行機に間に合わなくなってしまうような気がしたのでこれでヤメとく。 これで考えたんだが、とりあえずアムスまでの片道旅券とネタ銭があれば、世界中どこでも旅行できんでないのか。アムスで稼げばいいんだから。金がなくなったらアムスに戻る。アムスまでは往復12万(千歳発着)くらいだから、片道7万くらいじゃないか。だから10万もあればよし。だれか世界ギャンブル旅行やる奴いねーか。俺は仕事あるからダメ。
ちょうどいい時間になったので、千歳行きKLMに乗り込む。エーと俺の席は…あれ? 俺の席に何かベトナム人のオバサンが座っている。「すいません、チケット見せて貰えますか…(英語)」ローマと書いている。しかもチケットを発券した会社も俺たちのと全然違っている。「これはローマ行きの飛行機のチケットですよ!これは千歳、サッポロ行きです。これ、もうすぐ離陸してしまいますよ(英語)」ベトナム人のオバサンはびっくりして席を立ち上がる。「ガイドさんはこれでいいって言ったのに…(日本語)」あややや日本語! なんだこのオバチャン、日本人ツアー客かい。とにかく早く日本人スタッフの所にいくように勧める。なんか俺の席はまわりにツアコンばっかりで、乗員もみんなオランダ人のところだった。後ろを見てみると、さっきのオバチャンはスタッフにつれられて飛行機の外に行ったみたいだ。これでひと安心。 再び快適な空の旅。長官曰く「人助けしたね」おれ「まあ、ああしないと俺らの席もなかったということになるしな」ほほえましい気分で寝たりメシ食ったりして、あと一時間で千歳到着、という頃。俺の脳髄に突然衝撃が走った。この飛行機は千歳経由名古屋行き12:25発。あのオバチャンのチケットを俺が見せて貰ったとき、確かに「ROME」と書いてあり、もう一つ「NAGOYA」とも書いていたことを今思い出した。つまり俺たちがミュンスターからアムステルダムを経由して千歳に行くように、あのオバチャンはローマ〜アムステルダム〜千歳〜名古屋、と行く予定なのではなかったのか。そういえば出発時刻もこの便と同じ12:25。全く同じ時刻に出発する長距離便なんてねーしな。したがって俺の結論。「あのオバチャンは乗る飛行機は間違ってはいなかったが、KLMのミスで、俺と同じ席をブッキングされた」ということでは? ということで名前も知らない名古屋のオバチャン、もしこれで日本に帰って来れてなかったらゴメン。でも悪いのはKLMだから損害賠償はKLMにやってね〜。俺はほんとうに「自分の席を確保したい」という思いダケから行動したんだから。てなことを長官に話してみる。いままで元気だった長官の表情がすっかりダークになる。
まあ別に俺らに被害はなかったのでヨシ。さーて千歳に着いて、最後のチェックポイント税関。まーここまて来ればもう大丈夫。今日はへんなハッパも持ってないし。荷物を受け取ろう、とコンベアの前に立つとなんかポスターがはってある。「ドイツを御旅行の皆様で、ハム・ソーセージをお買いになった方がいらっしゃいましたら、検疫にいらしてください」俺はハムーソーセージ買った。検疫って、まあどんなソーセージ買ったのかチェックするダケだろ。まあ今回はフツーのソーセージしか買ってないから大丈夫だろ。よし、検疫って受けたことないしな。ちょっと試しにやってみるか。ああ、なんて遵法精神な俺。 「…没収です」ああ?「これを読んでみて下さい」農水省からのお知らせ。「ハム・ソーセージは、いかなる国からも国内持ち込みには当該国大使館の「輸出証明書」が必要です」「クソボケエ! そんなもんドイツのスーパーとか空港の免税店で発行してくれるわけネーベや! それに、それだったらそんなことは前もって出国の時に注意しとくのが筋じゃネエのか? そんなこと空港のどこにも書いてなかったぞ?」「…規則ですので」 あああああこれは今まで旅行してきた中で一番ハラ立ったあ! いや、これがね、アンゴラとかザンビアで何か没収された、とか言うんだったら話はわかるんだわ。日本だぜ日本? 何これ、例によって日本の農産物を守るからとか言う意味? ドイツの添加物最小限にしか使用してないソーセージより、日本の添加物まみれの農業製品や農薬まみれの農産物を食えってこと? そんなに農薬が好きだったら俺が全国土に枯葉剤まいてヤローカ?
というわけで、俺は金輪際「検疫」というものには一切行かないことにした。向こうで買ってきた土産は荷物の底に入れてシランプリ! 見つけられたら「日本で買ってむこうに持っていったのの食べ残し」とでも言うか。 というわけで、我々の旅の最後に、この言葉を贈ります。 オバチャンゴメン
P.S. 大家に郵送で送ったベーコンは後日無事ついた。ただしこの手法(郵送)は100%成功するかどうかはわからない。 |