my LIFE as HERMIT
「ドイツの科学力は世界一ィ!変」(その6)

(文中1マルク≒100円(レートではなく、日本の感覚として。レートでは60円くらい))

ミュンスター〜ゾースト〜ミュンスター

 

 FF8のエンディングのような打ち上げもおわったし、さーあとはフリーだ。しかし相変わらず7時に起きてしまう俺ら。さすがにハム・ベーコンくどくなってきたのでユデ卵とトーストとコーヒーだけ食う。食いながら今日の予定を計画。
「今日どーする」
「とりあえず駅に行ってきめるべ」

 駅に行く前に、鉄道路線図でまだ行ってない方向に行こう、と決定。残る方向はローカル線、ゾースト方面。ぜんぜん聞いたことねーや。なにやら城壁で囲まれた小さい町らしい。しかし全く場当たり的に決まってしまう一日の行動。でもコレは別に旅行だからこうだというワケではない。俺らは日本でもどこでも行動全てが即興で決められてしまうのだ。


きのうまで暑かったが今日はもう秋

 今日は窓口でキップを買う。どん行だから指定席がどーとか急行券がどーとか指定しなくていいからだ。ゾーストまで二枚で50マルク。安い。どん行だったら日本でもこんなもんか。残りマルクが100マルクを切ってしまったので、また円を両替しなければならない。ゾーストで両替はムリそうなので、駅近くにある銀行に行く。
「すいません、両替できますか」
「ここではやってないよ 他の銀行に行ってごらん」
 

 ここでなんとなく不安がよぎる。もしここでマルク両替が出来なかった場合、明日の空港までのタクシー代がちょっとヤバい。ホテルの清算はカードで済ませるとしても、タクシーはカードが使えなさそうだ。バスは時間が早いのでない。空港には両替所はなかった。まあほとんどドメスティック空港だからな。

 駅前なので銀行はたくさんあった。しかーし! なぜどこの銀行も閉まっている? なぜさっき一つだけやっていた銀行では両替を受け付けてくれない? 平日なのに? それともドイツでは今日は何かの祝日なのか? 焦る俺。ガイドブックで調べてみると、今日は祝日…というワケではなく、単に12時から2時までは昼休みらしい。昼休みは全ての営業中止。って、まだ11時半なんだけど? 俺みたいな勤務形態してんなドイツ人は。俺が世界標準なのか。

 ヒマなのでカドにある小さい茶店にはいる。ビアカフェだった。オバちゃんのやってる小さいパブ。客はリタイヤードのジイサンばっかり。まー平日の昼間だしなー。ビールを頼む。オバちゃんはビールの注ぎ方になんかコダワリがあるらしく、10分以上かけてゆっくりとグラスにビールを注いでいく。飲む。なんかウマい。やっぱ注ぎ方で味変わるもんなのか。
オバチャン「どっから来なすったかね」
おれ「あ、日本です」
リタイアドジジイ「おう、日本な、ワシも知ってるぞ、ナガノ・オリンピックだ」
 もうどっから聞いても年よりの会話だが、年寄りは話し方がユックリで文章が短くて同じことを何回も言うのでドイツ語が聴き取りやすい。ドイツに来てからドイツ語ばっかしでちょっとヘキエキしていたが、すこしナゴむ。

 無事両替を済ませ列車に乗り込む。これがまあまるでどん行。席が日本のどん行の例の背中が直角の固いやつと全く同じ。大きさも。今までが豪華列車の旅だっただけにちょっとガックリ。で、しばらく走ってると、なんかだんだん不条理な気分になってくる。なんでわざわざドイツまで来てこんな車両に乗ってるんだ俺。今までの旅の疲れもどっと出てくる。ゾーストに着いた頃にはすっかり不機嫌が完成。今誰かにドイツ語で話しかけられたらそいつを殴るかもしれない。

 


風景はこんなんばっかしだしな

 駅から出ると、人通りの少ない道を選んで歩く。城壁はどこだ。地図では歩いてすぐらしいが道が入り組んでてよくわからない。道が細いぞ。なんで車が右側走ってんだ。雨降ってくんなや。ああもう全てに腹が立つ。があああああ! ムチャクチャに歩いているとブレーメンの1/100くらいの小さいMarkt広場に出る。広い場所に出てメシの匂いを嗅ぐと少しほっとした。

 そういえば長官が文房具を買いたい、と言っていた。ちょうど文房具屋があったので入る。文房具はどこでも似たようなもんだ。和紙に「いろは」と書いてあるポストカードを発見したがここでそんなものを買っても仕方ない。長官はいろいろ買ったようだが俺は何も買わないで出る。その後イライラを静めるためにとりあえず何か食おう。アイリッシュパブ発見。ドイツビールに飽きてきた所なので丁度よかった。ロブ・ロイだったか、ギネスみたいなのを飲む。ドイツビールもウマいが、俺はなんかビールはイギリス系の方が好きかもしれない。甘くないし。

 そういや、昨日の打ち上げの時、イギリスのシェークスピアな人が「次の開催地はアイルランドかもしれない」と言ってた。いいねえ。♪ア〜イアムジIRA〜。ドイツ平和すぎ。駅でチョットでもケンカみたいなのあると、すぐパトカーとんでくる。SSのようだ。あ、どうでもいい話だが日本の救急車のサイレンってB/G/B/Gの3度でドップラーかかってB♭/F♯/B♭/F♯/だろ。ドイツではD/A/D/Aの4度でなんかカンにさわる(パトカーだが。救急車のサイレンはわからない)。

 そうだ、SSで思い出した。当初俺らはここらへんにあるハズのアウシュビッツに是非行こう、と計画していたのだった。しかしどのガイドブック見てもアウシュビッツのことは書いてない。場所がわからない。記念館はあるはずなんだが。そんなんドイツの人に聞けばいい、と思うでしょう。でも何か聞けないのよ。雰囲気的に。そういうことを。ドイツ人に。なんかシャレわからなそう、というか全て真剣にとらえられてしまいそうで。

 というわけで「アウシュビッツは×かった」
(編者注:世界遺産「アウシュビッツ強制収容所跡」はドイツではなくポーランドにあります)

 おバカな事を言っているウチに雨が降ってきたのと、なんかメンドくさくなってきたので城壁見学中止にしてミュンスターに帰還。つかれたので夜はドイツというかトルコ風ジンギスカン「ドネル・ケバブ」をテイクアウトしてホテルで食すことに。巨大なジンギスカンのサンドイッチ。大きい上に肉もパンも固いので食ってるとアゴがつかれてくる。

 とりあえず満腹。明日は朝6時起きで帰国だ。早めに寝る。

 しかし、この旅の最後の最後で、思いも寄らぬ国家的陰謀が我々を待ち受けているということを、この時点でいったい誰が予測していたであろうか…次回、ドイツ変衝撃の最終回!

 

つづく

ドイツの科学力は世界一ィ!変(その5)

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