my LIFE as HERMIT
「インドでわしも考えた変」(完結偏)

(文中1ルピー=3.5円)

再びデリー

  空港降りるとまた夜のデリー。今回は国内線ターミナル到着なんで、外の人混みはそれほどでもない。急に予定変更してデリーに来たから当然宿の予約はとってない。でも、インドでは宿の予約などというものは全く無用であることは学習済みであるから、そこらへんで適当にモーニングのえの素みたいに「ホテルのガイド屋〜!」と叫んでみる。0.5秒間に3人集まってきた。これは面白い。明日メインバザールで「耳かき屋〜!」とか「インターネット屋〜!」とかも試してみよう。

 ガイドの中でカールスモーキーにカイゼルひげ生やしたような怪しさマキシマムの奴がいた。異常に気に入ったんでそいつをガイドに雇うことに決定〜。
「どこに行くんだ?」
「ああ、コンノートのあたりで適当に頼むわ。ゲストハウスは危ないから、ホテルを頼む」
「アイシー」

 初日とは全く違う和やかな雰囲気でタクシーは走る。しかし、ホテルを紹介しただけで満足してはいけないのがインド商人の心意気らしく、カールスモーキーはさらにいろいろ話しかけてくる。
「キミ、酒は飲むかい? 酒の飲めるいい店知ってるんだけど」
「(インドで酒の飲める店かい…怪しいなあ)いや、俺はドライ(酒飲まない人)なんだ」
「そうか。じゃあ明日の予定はどうだ? アーグラーとかに行ってみないか?」
「(アーグラーには観光客目当ての超しつこい土産物売りがいることは知っている)いや、明日の予定はいっぱいだ。ノーサンキュー」

 

 まあそんな会話をしているうち、とりあえずホテルにはついた。外観は…まあ日本のビジネスホテルくらいか。ネオンがやたらハデだ。一泊2000ルピー。高いような気もするが、まあこんなものか。チェックインしようとすると、フロントとガイドから「違う違う、早いよ」と言われる。どうやらインドではホテルはよほど高級な所でない限り、実際に部屋を見てからこのホテルに泊まるか別なところにするのかを決定するのが普通らしい。部屋は温水シャワー・トイレは水洗紙あり、カギは二重でまあ大丈夫そうだ。ちよっと古い建物だったが、他にまたホテル探す気力もなかったのでここに決定。チェックインが済んで部屋にいくと、ポーターと一緒にカールスモーキーが付いてくる。
「何だ? タクシー料金はプリペイドで払ってるだろ」
「ガイド料を貰っていない。ガイド料はタクシー料金とは別だ」
 そういう事か。ていうことは初日のアレも、そのままガイドの勧めるホテルに泊まってたらガイド料金取られたってことか。まあ100ルピーもやれば充分だろう。渡すと
「…少ないよ。2000ルピーのホテル紹介したんだから、相場はその2〜3割だ」
 それが本当かどうかは解らなかったが、もう値切りする気力もないので合計300ルピーやって追い返す。その後もホテルのボーイが「酒いらんか」「マッサージいらんか」とか3分おきにドアをノックする。5ルピーやって「頼むから寝かせてくれ」と言って追い返す。以降は誰がノックしても無視。くすり飲んで爆睡する。

 …何事もなく朝になる。ほっとする。もうインドでは何が起きてもおかしくないからなあ。ところで俺って何しにインドに来たんだっけ。有り難いお経…でなくて、そうだ、俺はインドに仕事の疲れを取るためにリフレッシュしに来たんだった。全然リフレッシュされてない。よけいに疲れてる。これじゃあ日本にいるのと全然変わらんではないか。むう。

 

 朝食90ルピー食ってニューデリーのメインバザールに行く。寒かったのでタクシー。そういえばデリーは着いた時から寒かった。今も10℃ないんじゃないかなあ。今日のホテルにはヒーター入ってたくらいだ。「タクシー屋〜!」どこからともなくタクシードライバーが徒歩で現れ「今車を持ってくるから1分待っててくれ」と言い(インドではよく『一分待ってくれ、Wait one minute.≠Wait a minute.と言われた。流行ってるのか、インド人は気が短いのか?)、20秒くらい後にタクシーがやってきた。
「どこまで?」
「メインバザールのS.N.コミュニケーション(ネットカフェ)って解るか?」
「わかった」
 メインバザールに着く。
「お客さん、どこって言ったっけ」
「だから、S.N.コミュニケーション」
「ちょっと待っててくれ」
 タクシードライバーは車を降りてそこらへんの人に「S.N.コミュニケーション」ってどこだ、と聞いている。何だ場所知らないんじゃないか。でも結局着いた。すごい奥まった所にある。こんな所絶対解らない。


ここ

 まあ無事目的地についのたのでドライバーには交渉するヒマを与えず500ルピーを進呈。拝まれる。もうインドの貨幣価値は全く解らない。
 中に入ると先客のカナダ人女性がややヒス気味に待っている。インド人スタッフが接続にチャレンジしている。どうやら常時接続の専用線ではないらしい。コンピューターは3台。でもちゃんと作動してるのは1台。待ってる間に少しそのカナダ人と話す。
「日本人なの?」
「そーです。マシントラブルですか?」
「いや、マシンは動くのよ。ただこのスタッフがねえ…ちょっとアレなのよ(差別発言)」
「まあ、ここはインドですからねえ。気長に待ちましょう。ところでツーリストですか? よくこんな解らない所にある場所見つけましたねえ」
「そう? ここ、ツーリスト+ネットワーカーの間では世界的に有名よ?」
「へー、そうなんだ。…あ、繋がったようですよ」
「あ、ホントだ。じゃー」
 その後1時間くらいして、俺のマシンもやっと繋げる状態に。


WIN98'+ネスケゴールド3.0

 いきなりココのトップページを表示するとインド人スタッフに感動される。ふふ、このためにワザワザトップのタイトルロゴをヒンディー語にしたのだ。わはは勝った。…しかし日本語が全く読めない。どこのサイトに行っても読めない。ネスケのキャラクターセッティングをしても駄目だ。OSの問題か。誰かここに行って設定見てきてくれ。ついでに自分のページの掲示板にも書き込めない。何のためにT-CUP借りたんだか…腹いせにリンク先の掲示板何ヶ所かに書き込んでくる。T-CUPだけがダメなようだ。プロクシの関係か。

 それでもまあちょっとは見れるので、1時間ほどネットまわりする。1時間100ルピー。これは値切り交渉なし。やってる途中で後から来たアメリカこむすめ(推定)に「ちょっとまだー? 早くしてよー、マジムカつくー」とか言われたのでやめる。しかしせっかく人が止めて帰ろうとするとそのアメリカこむすめは既に居なくなっていた。何か危険を感じたのか、ただ単に気が短かったのか。

 まあせっかくインドにきてネットばっかりやってんのもアレなんで、メインバザールでお買い物。


よく見たらネットカフェは他にもこの辺にいっぱいあった

 ここらへんは日本の商店街とかわんないね。人はやたら多いけど。言われてるほど街は汚くはない。季節によるのかもしれんが。これだったら新宿のホウがよっぽど汚いし臭い。少なくともインドにはゴミは散らかってない。

 インドと言えばスパイス。でもかさばるのはヤなんで、最も効率よい買い物としてサフランを買う。メインバザールのスパイス屋で10グラム200ルピーだったから、これは確かに安いな(日本ではだいたい1グラム1000円)。あとカルダモンとシナモンとガラムマサラを買う。カルダモンは高い。5キロ1000ルピー。日本に比べりゃ安いんだけど。

 デパートもある。だから、普通皆が抱いてるインドのイメージあるっしょや。貧乏で、未開で野蛮で飢えた子供とか乞食がいっぱいいて、人々はガンジャとか麻薬ばっかりやってて…って、あれは日本人=ハラキリサムライと同じようなモンじゃないかなあ。確かに値切り交渉とか客引きはウザいけど、あとは日本と変わらんよ。少なくとも昼間は。


デパート 外はポロだが中は豪華なのはロンドンのデパートと一緒

 とか思ってるとガキが寄ってくる。乞食らしい。一応悲壮な顔をしてバクシーシと言ってくるが、血色・栄養状態共に良好。俺がガキの方を見ると悲壮な顔をするが、俺がちょっと別な方向を向くと笑っていることを発見。だいたいお前なあ、顔ドロだらけにしてるけど、ここらへんは全部アスファルトで舗装されてるし、今日はずっと晴れてんぞ。もっとマジメにやれコラ。だから何もやらん。写真とろうと思ったけど、たぶん親がどっかで見ていて、出てきて金出せとか言われるなと思ったのでやめる。

 街もブラブラしたし、まあ初回のインド旅行だったらこんなもんじゃないかねえ。リクシャーでプラプラと空港に帰る。途中例によってリクシャーが土産物屋によろうとしたので「なめんなコラ」と恫喝した所、リクシャードライバーは「フレンド、フレンドね」と言いながら素直に空港に直行する。


デリー空港への道 昼間は普通の国なんたがなあ

 成田行きエアインディアは当然のように3時間遅れる。結局旅行中、日本人とは誰とも話しなかったなあ。
 帰りの便で、俺の前の席に座ってた日本人女性とその隣のオヤジとの会話を聞いてしまう。
「ヘー、女性一人でインドにねえ。何でまた?」
「あたし、仕事やめちゃって、それでインドに来れば自分が見つかるか、と思って、エイヤっと思って来ちゃったんですよ。前から来てみたかったし、インド」
「ふーん。で、どうだったの、旅行の成果は?」
「………」

インドに落ちてたか、自分?

おはり
「インドでわしも考えた変」(その5)

「インドでわしも考えた変」(その4)

「インドでわしも考えた変」(その3)

「インドでわしも考えた変」(その2)

「インドでわしも考えた変」(その1)

「隣の印度人変」

「大阪変」「ハッカー変」

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