さー今日は二回目の講義。講師はおれ伴 平連(g)だ。今日はJAZZの始まりと南北戦争について。ここんところ重要だからな。国家試験にも出るぞ。みんなも知っているように、ここ最近、国家1級ジャズ士試験の合格率が極端に低下している。国内経済が低迷してミュージシャンが食っていけなくなってるからだと思うが、1級ジャズ士を目指すみんなは、この厳しさにメゲず、合格目指して勉強してほしい。
で、本題だが、時は1861年。ことの起こりはなんだったっけ。まあそれは知らなくてもいいや。とにかくアメリカの中で内乱が起きるわけだ。革新工業系の北軍と、保守農民系の南軍。で、ここで大事なのは、当時奴隷だったアフリカン・アメリカンは基本的には軍人にはなっていない(はず)。つまり「奴隷=誰かの所有物」であって、市民どころか人間として扱われてなかったわけ。人間じゃないから軍人にはなれない。
しかしこの戦争のおかげで、アフリカン・アメリカン(以下黒人)はだいぶ自由になった。自分の雇い主がいっぱい死んだから。特に負けた南軍は戦死者も多かったので自動的に解放された黒人も多い。しかし、解放されたといことは、逆に言うと職がなくなった、ということ。今までは安い賃金とはいえどもいちおう食う所と寝る所はあったわけだが、「解放」されたらそれもなくなった。どうやって生きていこうか。とうぜん生活保護などないし。
というわけで、多くの黒人は職を求めて北部に流出したが、南部には雇い主が生き延びててまだ奴隷とかやってる黒人も多かった。…あ、ところでまさか、リンカーンの奴隷解放宣言で、一夜にして奴隷がアメリカからいなくなった、なんて考えてる奴いないべな。あれはリンカーンが勝手に言ってたダケで南部には(北部にも)その後もずーっと「黒人の奴隷」は居続けていたんだよ。ただ「奴隷」とは呼ばなくなっただけ。じゃあ何と言ったのかって?「労働者」だよ。
で、そういった「労働者」の中で、若い奴等を中心にヒマをもてあます奴が出てきた。で、当時、南軍の軍楽隊の払い下げ楽器がクズ同然で売られていた。というより、捨てられていた。それを拾ってそれぞれ楽器を、黒人特有の音楽センスで独学でマスターし、なんか適当に知ってる曲をやるようになった。この、みんなが楽器を持ちよって音楽やって「演奏する自分たちが」楽しむことをセッションと言う。
練習問題:次のうち、セッションだと思われるものは何か。理由も述べよ。
(1)ブラスバンドのペットのパート練習は、今日は三年B組の教室で、午後五時から行います。
(2)えーバンドのみなさん、明日のステージは、まずブルースやって、バラードやって、あと盛り上がるやつやって、で一部おしまい。みんな、がんばっていきまっしょい。
(3)(どっかの飲み屋)なんか援団OBと学生らしきグループがいる。OBが応援歌を歌いだすと、学生もみんな大声で立ち上がって歌いだした。はやしたてる客。
(4)花見でサラリーマンらしき集団が宴会をやっていて、その中の一人がハンディカラオケで歌っている。
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で、いろんなセッションがいろんな所で行われるようになった。で、この時、どういう曲をやっていたのか。南北戦争以前も黒人達は集まって歌を歌うことはあった。しかし、アフリカにはそれぞれの部族に伝わる民謡みたいのはあるが、みんなアフリカのいろんな所から連れてこられたので、お互いに知っているアフリカの曲はない。しかし、お互いに知ってる曲はある。それは、ミサを行うときに歌われる宗教音楽。これを、ヨーロッパ風3度和音(ドミ)じゃなく、アフリカ風の4度和音(ドファ)でハーモニーつけたり、ウラ拍(「パン、パン、パン、パン」とアクセントがアタマにくるのがオモテ拍。「ンパ、ンパ、ンパ、ンパ」とアクセントが偶数拍に来るのがウラ拍)で手拍子を入れて歌ったりしていた。どーせ黒人の教会には黒人しかいないから、これで文句言う奴は誰もいない。これを「ゴスペル」と言う。ゴスペルは教会だけじゃなく、日常でも人が集まると歌われだした。そのうちにオリジナルの「ゴスペル」を作り出す人も出てくる。
でも今は楽器がある。で、やる曲は、とりあえずミサ曲。でもなんかこれだけじゃなあ。これを早くやってみたら面白いかも。で、彼らはミサ曲やってるつもりでも、なんか音階が平均率のドレミファと違う。
実は、彼ら使っていた音階は
ド レ ミ ファ ソ ラ♭シ♭ド
というラとシが半音ずつ下がったもの。これはヨーロッパ平均律でアフリカ独特の音階が表されたものでブルーノートスケールと言われる音階。
さらに、曲も、ミサ曲で短い「4小節3段=12小節」のやつなど採用。なぜ短いやつを選ぶのか、というと、これを何回も反復させるのだ。反復させるうちにアフリカ人の得意な「即興演奏」をちょこちょこ入れたりする。で、本人達は違うミサ曲やってるつもりでも、ブルーノートスケールにあわせて、コードまで変わってきた。すなわち
C C C C
F F C C
G F C C
基本的にこのコード進行で進むっぽい音楽をブルースというようになった。ブルースはジャズをはじめ、いろいろな音楽のモトとなった偉大なる音楽である。
おすすめCD
ゴスペルはよく知らない。知ってる人音楽相談室に投稿お願い。
ブルース:
B.B.キング「BLUES ON THE
BAYOU」最新作。聞いてないがいいに決まってる。
あとブルースに関してはここが一番情報載ってるんじゃないかな。
http://www.mars.dti.ne.jp/~raindog/Blues/
つづく
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