三日目 H13.10.6
眠い〜。昨日はレクター教官、カール・セーガン教官や他の研修生と共に午前3時半くらいまで飲んでた〜。踊るし。「なんか踊れるラテンの曲でもないのか」とレクター教官に言われて「スクリューボール・コメディー(ソウルフラワーユニオン)」かけたら大喜び。特に「オーマガトキ」が一番気に入ったらしい(このあと最終日まで一日最低10回はこの曲で踊った)。俺としてはこのアルバムでは「NOと言える男」が好きなんだがネタ的に日本人にしかわかんないし。ミンガスの「フォーバス知事の寓話」をホーフツとさせて。まあ、いちソウルフラワーファンとして世界に通じたのがうれしい。 あと、香港の人からまた「あの発表はウソですよねえ、みんなもあなたをウソつきだと言っている」と言われたので「NO、俺が正しい。あいつらの方が間違っている。なぜならJapanease school teach wrong history」「おー、I see, that's true」と、中国の方々ともども激しく同意。でもちょっと考えた様子のあとニヤリとしてたのでたぶん信じてない。
それでも8時起きてメシ。スクランブル・エッグとハムとベーコン大盛りにバターロールにバター。うっぷ。何の嫌がらせだらう。教官は二人とも食堂にいない。たぶん寝てる。何だ、寝てていいのか…って、寝てていいのは教官だけだろーな。
午前中はビデオ。悲しひ悲しひ戦争の記録…なんだがもう眠くって。部屋暗くして見るもんだから余計に眠い。しかし眠ったらレクター鬼教官にドヤされそうなので、1分に1回くらい目をこすりながらなんとか必死に目をあけ続ける。あとからメヒ子嬢(嬢ったってヨメと同い年なんだが)に「泣いてたんですか」とか言われてしまう。ち〜が〜う〜って。
昼メシの前に、日本支部の人から「え〜、今日のランチの前には、よく手を洗って下さい」と言われる。はて、小学生じゃあるまいし、何でいちいちそのようなことを…そーいえばさっきちょっとカレーのにおいがしたが…まさかね。インド文化を学ぶためにカレーを手でつかんで食うなどということは…。ここ日本だし、だいたい俺インドでもスプーンで食ってたし。まあ手で食うとしてもライスじゃなくてナンかチャパティが…もしくはライスとしてもサラサラのルーとタイ米の手でたべやすいタイプの… どフツーの、どこの食堂でも見かける日本風カレーライス。これってただ単にスプーン忘れたダケでは? 仕方ないので手で食べる。手で食わすんだったらせめてもう少しインド風のカレーにすれ〜。非常に不条理である。
昼休みちょっと寝ようと思ってたが、手がカレーくさくなったので寝る気がしなくなった。ロビーでテレビを見る。「イスラエル発のロシア機謎の爆発、イスラエル人乗客全員死亡か(H13.10.6現在)」のニュースが流れる。ニュースは日本語で流れていたので、セーガン教官が質問してくる。「イスラエルに行く飛行機だったのか」「いえ、イスラエルを出発した飛行機のようです」「爆弾?」「みたいだ、とニュースで言ってますが…」(注:この事故は後日、軍のミサイル誤射であった、とウクライナが発表、陳謝した)「お〜…(やっぱり、みたいな感じ)」「あの空港(ベングリオン空港、世界で一番セキュリティが厳しいので有名。また、過去にイスラエルに入国したことがバレると他のアラブ諸国に入国を禁じられるので、入国の際には「スタンプをパスポートとは別の紙(空港で用意してくれている)に押して下さい」とリクエストするのが正しい旅の豆知識。したがって俺がその国に行ったことがあるかどうかは謎。うかつに旅行記も書けない)のセキュリティでダメだったら世界中で安全な空港なんてないすよねえ」「……」
午後はレクター教官による「災害」の講義・デイスカッション・発表。災害とは何か。いろいろなビデオを見たり激しいディスカッションをした。はず。あまり覚えていない。短めに終わった、と思ったらなんだかたんまりと「宿題」を出される。ちょっと待て、このスケジュールでいつ「宿題」をやれと? 寝るなってか? あ、酒飲まないで勉強すれって? しかし今日も飲むだらう。
夕飯はふつう。なんか肉。だんだん思考力が低下してくる。夕食後の講義は、実際にいろんな国に派遣された人の体験談。アフリカに行ってた看護婦と、中央アジアに行ってた技師と。アフリカは厳しそうだ。しかし、派遣される側は、行き先は選べないんだよなあ。ダーツの旅。ので、行く場合はアフリカということも考えられる。いや、別にアフリカでもいいんだけど、せっかくヒゲのばしてるので、ヒゲがむくわれる地域がいいなあ。最後の方になると記憶が途切れる。
さて、一日の授業が終わったあと、毎日続いている飲み会ではあるが(二日目以降は『飲み会専用部屋』というのが設置され、昨日もそこで飲んだり踊ったり飛んだりはねたり。しかしこの部屋は二階にあるので、下の部屋では誰かが寝ているハズなんだが、そもそも騒いでるのが教官なんだから、教官に文句言える奴あいないわな。したがってここは酒のんで騒いだ方が得であるといえよう。と思って今日も飲み会部屋に。 …教官が片っぽいない。セーガン教官のほうだ。娘はいる。「パパは?」「(手をあわせて枕にして)おねんね」「ふーん、わりと根性…」「WHAT?」「いえいえ、…えーと、パパは好き?」「もちろん!」 話を誤魔化しがてら、いろいろと娘とガンジャの効用などについて話す。「日本でやったことある?」「まさか、日本でやったらオナワですよオナワ」「コンドームに入れて尻の穴に入れたら大丈夫よ(←この娘はまあヨーロピアンライクというか。お父さ〜ん、あなたの娘はあなたのいない所でこんな話してましたよ〜)」「あ、それやって日本の税関でつかまってんのけっこういるし、そもそもそこまでして吸いたいもんじゃないし。それに、そんなことやったらガンジャそのものとは別のスメルが付くでしょ」「キャハハハハ」 などとセーガン教官の娘とほのぼのとした会話をしていると、それまで別な人と会話をしていたレクター教官がものすごい形相でこちらを見た。ような気がした。振り向いたら「オーウ、ラテンミュージック(たぶんソウルフラワーのことだ)、今日も踊るからな」とにっこりしている。いや、しかし確かに今、殺意が…やっぱコロンビアって麻薬で有名な国から来た教官だからこそ、麻薬の話とか嫌いなんだろーなと思い自粛。ていうか、この教官マジ怖いんで。
今日はさすがにレクター教官も早めに引き上げた。今日は三日目ということもあって飲み会の人数そのものも少ないし。でも最後5〜6人になった。もはや男しか残ってない。で、たまたま話した奴が、実はジャズ研OB(もちろん別の大学だが)だったことが判明、ジャズの話になり、他の誰もついてこれないディープな内容となり日本人の間ですら話の内容が理解されなくなる。で、そいつと俺の世界での経験の共通点を見いだすにより(そいつもNGOで世界いろんなとこ行ってる)、「世界にはジャズ民族というものが昔のユダヤ人のように散らばっている」という大胆な仮説が出来た。
<ジャズ民族の特徴> ・ジャズ民族のコーランには「枯葉」「ブルーボッサ」「ソフトリー」「Mr.PC」など、全世界共通で同じ曲のコードが書かれている ・ジャズ民族は他のどんな民族とも心からは趣味を共通せず(表面上はいろいろな趣味はあるが)、唯一神ジャズのみを信ずる ・毎週1回の礼拝(金曜か土曜が多い)は部室かスタジオルームにて「セッション」という形をとって行われるが、メンツいない時は飲み会となる ・セッションには音楽以外のいかなる言語も不要で、イントロ聞くとすぐにテーマが出てくる ・ジャズ原理主義勢力「廃盤」は、レコード番号とか録音年月日などのささいなことにこだわりすぎるため、他のジャズ民族からはかえって「異端」とされている
どっかに「ジャズ民族」だけ集めた国作るかね。ものすごく退廃的な国になりそうだ。
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